[イスラエル]あなたは疑わしい?と拘束されてしまいました。[Israel] “You are suspicious.” Crossing Israel border.

Israel

シャローム。

ヨルダンから、イスラエルのエルサレムに入国しました!
が、実は今日、真剣に日本に帰ろうかと考えました。これまでの旅の中で一番精神的にキツい体験をしてしまいました。今は気持ちもだいぶ落ち着きましたが、思い出すとまだ涙が出そうです。

事の発端は、私の軽率な行動からでした。なのでもちろん反省しています。私が甘かった。はい。でも、でも、それにしてもあんな扱いまでしなくても、と考えてしまいます。

世界一厳しいと言われるイスラエルの入国審査で、軽率な行動を取った為に、3時間も拘束され質問攻めにあいました。

順番に説明します。

ヨルダンからイスラエルのエルサレムまでは、ペトラに行った時にも利用したJETTバスで行きました。JETTバスだと、ヨルダン出国税の7ディナール(約1110円)が無料になるのです。個人的にタクシーで行く方法もありますが、JETTバスは輸送に慣れていること、あと他にも同じ目的地に行く人がいた方が何かと安心だと思い、バスに決めました。

朝6時半アンマンを出発。1時間前にはバス会社に到着し、チケットを受け取ります。乗車料金は11ディナール(約1745円)。

まずは、ヨルダンの出国のチェックポイントに着きました。一旦バスを降り、窓口に行きそこでパスポートを提出します。

出国カードに、名前や、国籍、パスポート番号、出国日を記入します。

ここでJETTバスのチケットを見せると、出国税は払わなくてOKです。あとは手続きが終わるまで、椅子に腰掛けひたすら待ちます。

待合は空港の様です。

私の他に、アンマンからのバスで乗り合わせた人も合わせて10名くらいいたでしょうか。私達のいる外国人専用窓口は空いていましたが、反対側のヨルダン人の窓口は長蛇の列でした。いつもこうなのだとアメリカのパスポートを持っているヨルダン人だという男性が教えてくれました。

出国税の支払い証明書。

裏に出国スタンプが押されます。

出国審査をが終わると再びバスに乗り込みます。キング・フセイン橋を通ります。いくつかの地点で銃を持った警備隊が立っていました。

キング・フセイン橋

緊張してきました。いよいよイスラエル側のチェックポイントに到着です。ドキドキしながら列に並びます。自分の順番が来るまで元同僚のイスラエル人に、もうすぐ入国するよーとメッセージを送りました。

合計3か所位審査カウンターがあった気がします。まず始めの審査カウンターで、荷物をベルトコンベヤーに載せ、パスポートを提出します。そこでは簡単にチェックされただけで、パスポートに黄色いシールを貼られました。

このシールは何だろう、と思いながら記録の為に携帯のカメラでパシャ。

その瞬間です。STOP!!! と警備員?審査官?に呼び止められました。その瞬間あちゃーやってしまったと思いましたが、時既に遅し。今何をしていたのかと聞かれ、すみませんカメラで自分のパスポートを撮っていました、と正直に答えます。撮った写真を見せろと言われたので見せると、パスポートとカメラを取り上げられ、別の職員の所に連れて行かれました。

普通の格好をした男性職員に質問されます。

ヨルダンでは何をして過ごしたのか、どこに宿泊したのか、誰かと会ったか、会った人達の国籍は、誰かから荷物を預かったり物を受け取ったりしたか、職業は具体的に何をしているのか。イスラエルには何をしにいくのか、ウエストバンク(パレスチナ側)には行くか。何かの集会に参加する予定はあるか、イスラエル人の知り合いはいるか、その人はユダヤ人かアラブ人か。結婚はしているか、子供はいるのか、これまでどこの国に行ったのか、イスラエル国内はどこに行く予定か(エルサレムとテルアビブと回答)、滞在期間は、イスラエルの後はどこに行くのか、航空券は購入済みか(滞在期間をまだ決めていないので取っていませんと回答)、色々聞かれました。

その間私の荷物は、荷物検査官に開けられ、隅々まで調べられている様子です。大きなバックパック、小さなバックパック、中身を全部取り出して、本やノートは1ページずつめくっています。下着や服も1枚1枚広げて確認、バッグに付いているポケットや服のポケット、全て裏返して確認しています。

ひとしきり質問が終わると、ここで待つ様に言われ、荷物検査前のベンチで待たされました。なんてことをやらかしてしまったんだろう。普通なら空港で、ましてや審査カウンター近辺で写真なんて撮ったりしませんが、今回は初の陸路での入国、しかも、悪名高いイスラエルの入国審査という物珍しさもあって、記録の為にと思わず撮ってしまったのです。

審査ゲートには、次から次へと観光客が入ってきては無事通過した荷物を持って出ていきます。中国人の団体客も無邪気に通り過ぎていきました。私もあの人達と同じただの観光客だったのに。。

次に、一番初めに対応した女性職員が、再度今日撮った写真フォルダを開く様に言われ、目の前で、キングフセイン橋や国境間の道路の写真なども削除させられました。ヨルダン側の建物で撮った写真については何も言わませんでした。該当の写真が全て削除出来たことを確認すると、携帯は返してくれました。次に、今度は靴も靴下も脱ぐように言われ、再度X線ゲートを通らされました。

そして再びベンチで待たされます。しばらくすると、さっきの女性職員が手に何かを持って、これは何かと聞いてきました。彼女が手に持っていたのは、袋の中身が開けられたお守りでした。ショックと怒りで体が震えました。顔が熱くなります。

いったん深呼吸して泣きそうになるのを堪えてから、これはお守りと言って、友人が私の旅の安全にとわざわざ特別な神社からもらってきてくれたもので、本来開けてはいけないものなのだ、とゆっくり怒りを込めて説明しました。彼女は謝りもせず、Oh ok. I didn’ know.(それは知らなかったわ、オッケー。)とだけ言って戻っていきました。悔しかったです。悔しくてな悲しくて喉が苦しくなりました。近くで見ていた若い男性職員が、「それ僕テレビで見たことあるよ、お守りっていうんだね。」と声を掛けてくれました。なだめようとしてくれている様子。

また、インドでもらったヒンディー語と英語の対訳が書かれた紙についても、これは何と書かれているのかと聞かれました。

しばらくして、やっと荷物検査が終わったことを告げられましたが、見ると、私の荷物は無機質なステンレスの台の上に、全てがぐちゃぐちゃになって広げられていました。その中に私が失くしたと思っていたペンもありました。

女性職員が来て、我々には元に戻せないから自分で詰める様に言われました。目の前の無残な光景に、手を付けようとしても、悔しさで動けません。泣きそうになるのを堪える為、何度も深呼吸をします。意地でも彼らの前では絶対に泣くまいと必死に堪えます。

少し落ち着いてから、1つずつゆっくり手に取りパッキングを始めました。するとさっきの若い職員が来て、「僕も手伝うよ」と声を掛けてくれました。また泣きそうになるのを堪えながら、「ありがとう。でも大丈夫。これは私しか出来ないから。」と言うと、「どこに詰めるか指示してくれたらその通りにするよ」と言います。「本当にありがとう。でも自分で出来るから大丈夫。」と断りました。あと1ミリ優しくされたらきっと滝の様に泣いていました。

どれくらいかかったでしょうか。なんとか全部詰め終わり、またベンチで待機。最後に、また違う女性職員がやって来て、「ハウアーユードゥーイング?私はイスラエル情報機関の職員で〇〇(名前)といいます。」と自己紹介。「あなたは、私がなぜ今あなたと話しているか状況を理解していますか?」「はい」と答えました。

一連の質問が終わると、最後に、「我々イスラエルは、安全、治安維持を真剣に捉えています。だからあなたもその状況を重く肝に銘じてください。この時点であなたは既に疑わしい人物として見られているので、今後の観光では安全に注意し、イスラエルを楽しんでください。」と言われました。

やっとパスポートを返却してもらい、90日のビザがもらえました。ちなみに、ビザのスタンプはパスポートには押されず、別紙でもらいました。

この時点で3時間は経っていたと思います。

建物を出て乗合の小型バスに乗り、市内に向かいます。隣の席になったリトアニアから来たという男性が、優しく声をかけてくれました。ホステルまでの行き方に確信を持てなくて不安そうにしている私に、自分の携帯で調べてくれようとしてくれました。彼が神様の様に見えました。リトアニアにも行くよと伝えると、名刺に携帯番号を書いてくれました。

バスを降りると雨が降ってきました。雨宿りしようと思い軒下に入ったのですが、その瞬間ベチャっと何かが降ってきました。嫌な予感がして背中を見るとバックパックに鳩のフンが。
はあ、踏んだり蹴ったりとはこういうことですよね。でも相手は鳩。くじけちゃいけない。フンは拭けば綺麗になります。

やっとホステルに到着。素敵なテラスがあって綺麗だったので安心しました。正直何もやる気が起きなかったのですが、雨も止んだので、重い腰を上げ街に出てみることに。

気温11度。寒。

合計57シェケル(約1758円)。高くてビビります。。

カフェに入り、カフェオレとサンドイッチを注文します。誰かに話したくて、友人や妹にラインで何が起きたか状況を報告しました。話していると、だんだん気持ちが落ち着いてきました。

一旦落ち着いてしまうと、さっきは気が付きませんでしたが、あら、カフェの店員さんが皆イケメン。そしてカフェオレも美味しいし、サンドイッチも新鮮で美味しい。少し希望の光が見えてきました。

コーシャー仕様のマクドナルド(Kosher)

マックがコーシャー仕様のマクドナルドでした。コーシャーとは、ユダヤ教の規定に則った食べ物です。

あちこちに、ユダヤ教徒の男性が被るキッパが売られていました。小さな帽子をどうやって被っているのか気になっていましたが、髪留めが付いていて、それで髪の毛に止めている様です。髪が十分にない人はどうするんだろう。。

SIMカードもゲットしました。SIM代50シェケル(約1540円)、1カ月有効15GBプラン79シェケル(約2437円)、合計3980円。15GBも要らないのですが、これが一番安いと言われました。探せば他に安い所があるかも知れません。

今朝は、一瞬本気でもう日本に帰ろうと思いましたが、もう大丈夫。通関職員の人達は、一人の女性職員を除いては、皆、決して高圧的な態度というわけではなく、淡々と自分のやるべき職務を遂行しているという感じでした。やっていることは頭では理解できるのですが、あんなに質問攻めにされると、まるで自分が犯罪者になった気になり、プレッシャーを感じるものだということが分かりました。そして、国の事情によってとらえ方が違うことも身に染みて分かりました。

自分の甘さと、世界は広いのだと痛感しました。

まだまだ知らないことだらけです。

明日から気持ちを切り替えます。おやすみなさい。