[ベツレヘム]行ってみたけどやっぱり複雑。。 [Bethlehem] Confusing..

Banksy

ベツレヘムで1泊してきました。

イスラエル、エルサレム、ベツレヘム、パレスチナ自治区。何度ニュース等で見てもずっとパズルな所(国)です。何かどうでどうなってるの??地理的にも、宗教的にも、政治的にもよく分からない。。ベツレヘムに関しては、イエス・キリストが生まれた場所、くらいの知識です。一見は百聞にしかず。とりあえず行けば分かるはず。と長い間行きたかった国のひとつでした。

最近では、トランプ大統領が、テルアビブにある大使館をエルサレムに移転させる、という発言をして物議を醸していますね。

ベツレヘムは、パレスチナ自治区の中にあります。ヨルダン川の西側に接しているのでヨルダン川西岸という言い方もされます。英語でウェストバンクWest bank。こないだの入国審査の際にウェストバンクには行くのか、と聞かれた場所でもあります。その時はもちろんNoと答えましたが。世界一厳しい入国審査で知られるイスラエル。ベツレヘムを含むウェストバンクに行くということは、パレスチナ自治区に行くということなので、絶対に言ってはいけないと、事前調べで知っていました。でも結局大変な目にあうことになったのですが。。

あ、また恨み節になりそうなので、その話は置いておきます。

位置関係が良く分からなかったので、整理してみました。

ベツレヘムは、点線で囲まれた中にあります。点線は分離壁を示しています。昔のベルリンの壁の様に、高さ8メートルの壁で包囲されていて、パレスチナ人はこの壁の中に住んでいるのです。考えるとすごく変です。人間が人間を囲っているのです。

エルサレムからは、バスで40分で行けます。日帰りでも行けますが、私はベツレヘムに行くなら絶対泊まりたい!と思っていたホテル (Walled Off Hotel)があったので、1泊しました。なんならこのホテルに泊まる為にベツレヘムに来たと言っても過言ではありません。詳しくは次のブログで。

バスステーションはホステルから徒歩20分、ダマスカス門の近くにあります。

エルサレムのバスステーション

Beit Jalaを経由します。英語の表記があって助かる。

バスは231番や234番で行けます。6,8シェケル(約200円)。

ベツレヘムに到着しました。特にチェックポイントやパスポートのチェック等もなく、なんの変哲もなり普通のバス停で降りました。

バスを降りるとすぐに客待ちをしていたタクシーの運転手達が声を掛けてきます。1泊だけの予定なので、効率よく周る為にタクシーを利用することは決めていましたが、すぐ応じてナメられてはいけないと思い、2,3度断りながら足を進めます。と言ってもあくまで”フリ”なので、特にどこかに向かって歩いているわけではありません。苦笑。

交渉の結果、バンクシーの壁画、Shepherds’ Field Chapel 、キリストの降誕教会、ミルク・グロット、パレスチナ難民キャンプを周り、110シェケル(約3300円)で交渉成立。前調べ情報より少し高かったかなも思いましたが、他に割り勘する人もいないし、しょうがないと納得。

運転手さんに了承を得てタクシーの写真を撮ります。これは単に旅の記録というのもありますが、何かあった時の為の証拠という意味もあって撮る様にしています。

まずは、バンクシーの壁画を何か所か回ります。バンクシー(Banksy)とは、壁画アーティスト。何の前触れもなくゲリラ的に現れて人目に触れず描くので、覆面芸術家とも言われています。イギリス人男性ということだけ分かっている様ですが、その以上のことは謎に包まれたままです。

こういう何気ない所に描かれています。

この絵は有名ですよね。どこかで見た記憶があります。

これも何の変哲もないガソリンスタンドの壁に描かれています。

次に、Chapel of the Shepherd’s Fieldというカトリック教会に行きました。天使がイエスの誕生を知らせた場所だそうです。

なるほど、天使達が描かれています。

この教会から見えた光景。向こうに見える団地やマンションの様な建物は、ユダヤ人入植者用の住宅だそうです。イスラエル政府の政策で、国外に住んでいるユダヤ人の移住を誘致している場所です。ユダヤ人人口を増やそうという狙いがある様です。

次に、ここはイエスが誕生したとされる降誕教会です。

小さい頃本で読んだのを覚えています。イエスはベツレヘムの馬小屋で生まれたと。今まさに自分がその地に来ているんだと思うと、なんだか不思議な気持ちでした。

その本は、今思えば子供用に書かれた新約聖書だったのですが、ということは、またしても、”イエスって実在していたってこと?”という疑問が湧きます。物語として読んでいたので、いまいちピンと来ません。それにしてもなぜそういう本が家にあったのだろう。。うちはクリスチャンでもないのですが、母(あるいは父?)が何か意図して置いていたのか。。今度聞いてみようと思います。

(後日談)母に聞くと、「そんな本あったっけ?」というがっかりな答えでした。

小さな入口から、かがんで入ります。

奥に見える入口がまさに誕生した場所(洞窟?)だそうです。

長蛇の列ができていて一行に進みません。しばらく並びましたが諦めてタクシーに戻りました。

私の記憶では、イエスって馬小屋で生まれたと思っていたけど、洞窟だったという解釈もあるそうです。

次は、ミルク・グロット教会。こじんまりとした小さな教会です。

ここは、聖家族(イエスの家族)がエジプトへ逃げる前に避難していたとされる場所で、マリア像から一滴の乳が洞窟の穴に落ちてそこが白く染まった、という言い伝えからきているそうです。不妊に悩む夫婦も多く訪れるそうです。

教会の中には、イエスに授乳するマリア像や絵がいくつもありました。
こんなにもマリア様の聖なるお胸を見るのは初めてでした。

最後に、分離壁へやってきました。今私がいるここは壁の中、パレスチナの人々が住んでいる所で、壁の向こう側にはユダヤ人が住んでいます。高さ8メートルの壁には様々な絵やメッセージが書かれています。

有刺鉄線で遊んでいる子供。

”壁を作らず、フムスを作れ”

左下に写っている男性は、この近くでバンクシー関連のグッズ屋さんを経営していて、この絵は自分が描いたんだ、と言っていました。後で今夜街のクラブでライブイベントがあるから来ないかと誘ってくれたのですが、気が進まず行きませんでした。

壁の所々にはこのような監視塔があります。

”一片のがれき(PIECE)ではなく、平和(PEACE)を”

”パレスチナに行ってみたけど、あったのはこのバカげたステンシル(の絵)だけ”

戦闘機で遊ぶねこ

この女性は、ライラ・カリド。パレスチナ解放運動家で、元ハイジャックのテロリストですが、釈放後は暴力的解決を否定し、現在は講演活動をしているそうです。

沢山のエピソードとメッセージがあり、どれも胸を締め付けられる思いで見ていました。なかでも、上写真の「アリ」と題された言葉には苦しくなりました。

(訳)アリになれたらいいのに。アリは働き者です。自分で食べ物を探して、仲間の面倒をみます。アリは一生懸命働くことを良しとし、お互いを尊重します。アリは強い意志を持って生きています。アリの様に強く、働き者で、人々を助ける人になりたいです。 ベツレヘム出身、ウサマ。

ベツレヘムに入ってから、携帯の受信状況が格段に悪くなりました。ホテルでは、シャワー水の節水をお願いされました。まるでヨーロッパという感じのエルサレムの街とは違い、古く寂れた建物が多く、シーズン的なものなのか、閉まっているお店も目につきます。走っている車は古い車が多いです。

後で調べたり聞いたりして分かったことは、古い水道管は長い間取り換えもされず、また、先の写真にもあった、ユダヤ人入植地の水道整備が優先され、パレスチナまでうまく供給されていないそうです。携帯の電波も同様に整備が遅れてれているそう。

あからさまに違います。ひどい対応です。

あー!今思い出したけど、パレスチナ難民キャンプに連れていってもらってない!げ、タクシーの運ちゃんめ。そこも行くっていう約束だったのに。私も疲れていたので、降ろされるまま降りてしまったのもいけないのですが。名刺をもらってたから連絡して苦情を入れようか。

あーもう。でも頭も胸もいっぱいいっぱいなので、とりあえず寝ます。

おやすみなさい。